チキンカツという悪魔的誘惑に屈した俺の午後
毎日が黄金のように自由で、時間に縛られない孤高の存在
――そう、俺こそが“働かない”という芸術を極めたプロニート。
今日も誰にも命令されることなく、己の本能と欲望に忠実に従った完璧な一日を送っている。
だが、そんな俺にも抗えぬ誘惑があった。
それが……チキンカツである。
ワンコインの陰謀 ― フレスコの罠
お前ら、知ってるか?フレスコっていうスーパーの魔窟。
昼過ぎにふらっと立ち寄った俺の前に現れたのは、でっけぇチキンカツ。
しかも税込ワンコイン。
500円だぞ?
このインフレ地獄の中、ワンコインであの暴力的ボリュームとサクサク衣。
そんなもん、理性で抗えるわけがねぇだろ。
むしろ抗う奴がいたら、そいつはすでに人間やめてる。
AIか、宗教家か、どっちかだ。
この時点で、もう俺の勝ちは確定していた。
カツを手にした瞬間、周囲の労働者たちが羨望の眼差しを向けてきた気がした。
いや、間違いない。あいつらは昼休みの束の間の自由に、せこせこと500円の弁当を選んでる。
対して俺は、悠々自適にチキンカツを吟味。
そこに上下の格差が生まれるのは当然の帰結。
お前ら、哀れよのう。
「残す」という発想の敗北 ― 欲望の大洪水
一応だぞ?一応、「半分残して夜食に回す」っていう人類的判断も考えたわけよ。
俺は理性ある知的生命体だからな。
だが、箸を入れた瞬間、脳の報酬系がバグった。
ジュワッと染み出す肉汁、パリッとした衣の音、そして濃厚なソースの誘惑
はい、思考停止。
気づいたら最後の一切れを咀嚼していた俺がいた。
気がついたら、袋もトレーも空。完食。
しかも、白米も倍量炊いてたせいで、実質2人前完遂。
いやね、こんなこと言いたくないけど、これが「勝利」というやつなんですわ。
食欲に負けたんじゃない。
俺の中の生命力が勝ちをもぎ取ったんですわ。
食後の地獄 ― 血流の暴走
当然の報いとして、猛烈な眠気が襲ってきた。
だが寝られない。全身が熱い。心拍数は軽く120超えてる。
血が身体中を駆け巡って、完全に「戦闘モード」になってんだよ。
どう考えてもカツ1枚の影響力じゃねえだろ。
もはやこれは兵器。戦時中だったら国が没収してるレベル。
お前らはこれを“食いすぎの代償”とか言うだろ?
違うからな。
これは“本能を極めし者”の宿命。
いわば、神に近づきすぎた代償。かのイカロスも太陽に近づいて墜落したって話があるだろ?あれと同じ。
俺は“うまさ”という太陽に、肉体という翼で飛びすぎた。
結果、今ベッドに横たわって天井見つめてる。
汗がやばい。目も冴えてる。つまり、最高ですわ。
チキンカツの美学 ― 労働者には理解不能
お前ら、労働で消耗しすぎて、味覚も情緒もすり減ってるだろ?
ただ腹を満たすために食うだけの人生、それが本当に“生きてる”って言えるか?俺に言わせりゃ、それは「燃料補給」。
家畜と同じ。黙って飼料食って働く。それのどこに知性がある?
俺が言いたいのはこれだ。
- うまいものは、空腹時に急かされて食うべきではない
- 安いからこそ、満足感の質が逆に上がる
- 自由な時間があってこそ、食事は芸術になる
そう、チキンカツは食べ物ではない。自由の象徴。
お前らの残業と引き換えに、俺はそれを味わっているわけ。すまんな?こっちは勝ち組なんで。
チキンカツは人生の比喩
結局な、人生とは選択の連続なんだよ。
その中で、「チキンカツを買うか、否か」という問いに対し、俺は正しく「買う」と答えた。
そして「残すか、食べきるか」の選択にも、「食べきる」という正答を導き出した。
これが勝者の選択ですわ。お前らはどうだ?
SNSで「糖質制限ガー」とか「PFCバランスがー」とか言って、結局コンビニの鶏胸肉とか食ってんだろ?
哀れやな。
というわけで、今日も俺は最高の午後を送った。
ちょっと眠気がすごいが、それも含めて幸福。
お前らもたまには、人生の“チキンカツ”に全力で挑んでみろ。
まぁ、お前らの胃袋じゃ無理だろうがな。
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